不動産取得税を節税したい新築住宅の施主向けの記事です。以下のようなことをお求めの方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 不動産取得税がどんな税金なのか教えてほしい
- 不動産取得税の軽減措置を受けたい
- 軽減措置の申請を忘れてしまった場合にどうすればいいか知りたい
本記事のポイントは次の通りです。
- 不動産を取得してから原則60日以内(自治体による)に申告するのが不動産取得税
- 本税申告の際に軽減措置の申請をすれば減額される
- 軽減措置の申請を忘れていても5年以内なら還付申請が可能
冒頭でも触れましたが、本記事では新築住宅を取得したケースを考えます。
土地については触れるの?
触れるよ!土地や新築住宅を購入したケースをカバーする記事になっているからね。
不動産取得税とは
概要
不動産取得税とは不動産を取得したことに対してかかる税金です。
不動産を取得した日から原則60日以内に都道府県へ申告します。「60日以内」という日数は自治体によって変わってくるので注意です。
私たちの場合はどうなのかな?
取得した次年の8月だったよ。
たとえば、2022年に不動産を取得したら2023年8月に課税されるということだね。
かなり先だね〜!
それだけ自治体によって課税時期が変わってくるってことだね!
税金を払うのは一度だけです。毎年納める必要がないのは嬉しいですね。
建築地の自治体のホームページから課税時期を調べてみてください。
計算方法
いつ・どこに納めればいいかわかりました。次は具体的にいくらなのか気になりますよね。
計算方法は次の通りです。土地であっても建物であっても計算式は同じです。
「固定資産税評価額 ≠ 購入費」であることに注意してください。一般的に固定資産税評価額は購入費の70%程度です。
土地と建物それぞれ1,000万円と3,000万円で購入した場合の不動産取得税を計算してみようか。
まずは土地から
1,000万円 × 70% × 4% = 28万円
次に建物
3,000万円 × 70% × 4% = 84万円
合計112万円…けっこう高い…。
この計算式はあくまでベースとなるものです。ここから軽減税率や軽減措置を適用します。
軽減税率について解説します。
上述の通り税率は4%です。しかし住宅家屋と土地は税率3%になります。ただし、取得時期が2008年4月1日〜2024年3月31日である必要があります。
軽減税率を適用した計算式は次の通りです。
計算し直してみようか!
まずは土地から
1,000万円 × 70% × 3% = 21万円
次に建物
3,000万円 × 70% × 3% = 63万円
合計84万円。まだ安いとはいえないけど…さっきより28万円安くなったよ!
次に軽減措置について解説します。
不動産取得税の軽減措置とは
概要
軽減措置とは課税基準額から一定の金額を控除する措置です。
基本的には自身で資料を用意して申請する必要があります。軽減措置が適用された納付書が自宅に届くわけではないので注意です。
後述ですが軽減額はかなり大きいので、忘れずにしっかり申請したいところです。
ただし、自治体によっては自動的に軽減措置を行なってくれます。軽減措置が適用されるかどうか行政側が把握できるからです。
必要書類も自治体によって異なります。最終的に各自確認が必要なので、一覧の記載は割愛させていただきます。
参考までに私たちの自治体では以下が必要です。
- 軽減措置の申告書
- 建物の登記事項証明書
要件
軽減措置を受けるための要件を満たしているかどうかを最初に確認しましょう。
新築住宅の場合は、以下全てを満たす必要があります。
- 居住用であること
- 住宅の延べ床面積が50㎡〜240㎡であること
土地の要件も紹介します。新築住宅を建てるか中古住宅を建てるかで要件が異なります。今回は新築住宅を建てる土地という前提で話を進めます。
- 建物の不動産取得税軽減要件を満たしていること
- 以下どれかに該当すること
- 土地を取得してから3年以内にその土地上に住宅を新築すること。かつ住宅が新築されるまで、その土地を継続して所有していること
- 住宅の新築前に先行して取得した土地を譲渡した場合、土地取得から3年以内に譲渡相手がその土地の上に住宅を新築していること
- 住宅の新築後から1年以内に、その住宅を新築した人がその住宅の敷地(土地)を取得していること
2つ目の項目は文字数が多く複雑に見えます。要点としては、住宅を建てるための土地をきちんと所有しているかどうかです。
計算方法
新築住宅と土地に分けて軽減措置の計算方法を解説します。
新築住宅
建物部分の固定資産税評価額から控除されます。
基本的には1,200万円、長期優良住宅の場合は1,300万円控除されます。
1,200万円控除される場合の計算式は次の通りです。
計算し直してみようか!
固定資産税評価額は2,100万円(3,000万円 × 70%)としよう。
あと、長期優良住宅ということにしよう。
(2,100万円 – 1,300万円) × 3% = 24万円
軽減措置適用前は63万円だったから39万円も安くなった!
土地
計算式は次の通りです。
軽減額は以下2つのうち金額が大きい方です。
ちなみに100円単位は切り捨てです。
こちらも計算し直してみようか!
土地の広さを200㎡、住宅の延べ床面積を90㎡としようか。
あと、固定資産税評価額は700万円(1,000万円 × 70%)としよう。
まずは軽減額候補②を計算!
700万円 ÷ 土地面積200㎡ × 1/2 × 延べ床面積の2倍180㎡ × 税率3% = 9.45万円
100円単位は切り捨てなので9.4万円だね。軽減額候補①の4.5万円よりも大きいから、軽減額は9.4万円で決定!
それから…
次に土地の不動産取得税を計算!
700万円 × 1/2 × 税率3% – 軽減額9.4万円 = 1.1万円
軽減措置適用前は21万円だったから19.9万円も安くなった!
新築住宅も含めて、軽減措置を受けていない場合と受けている場合を比較してみようか!
軽減措置を受けていない場合は84万円で、受けている場合は25.1万円になったよ!
58.9万円も安くなった!
不動産取得税の還付請求とは
概要
還付請求とは減税措置を受けず払い過ぎてしまった分を請求することです。
還付請求できるようになった日から5年以内が期限です。還付請求できるようになった日というのは、新築住宅が建った日です。土地の軽減措置の計算に住宅の情報が必要なので、土地についても同様です。
必要書類は軽減措置と同様自治体によって異なります。最終的に各自確認が必要なので、一覧の記載は割愛させていただきます。
参考までに私たちの自治体では以下が必要です。
- 軽減措置の申告書
- 建物の登記事項証明書
- 還付申請書
必要なケース
還付請求を行うケースは大きく分けて以下2種類でしょう。
- 軽減措置を受けるのを忘れた場合
- 軽減措置の要件が一時的に満たせない場合
1つ目の「受けるのを忘れた場合」は期限内に頑張って還付請求しようねというシンプルな話です。
2つ目の「要件が一時的に満たせない場合」については解説します。
具体的なケースをあげると次の通りです。
2021年6月に土地を取得した。そして2022年12月に新築住宅を取得した。
仮に不動産取得後60日以内に不動産取得税を支払う必要のある都道府県が建築地だとします。
この場合、新築住宅を取得する前に土地の不動産取得税を支払わなくてはいけません。土地の軽減措置を受けるためには住宅の情報が必要なので、土地の軽減措置を申請することは不可能です。こういう場合も還付請求をすることでお金が返ってきます。
これって私たちのことだよね?
そうそう、いい事例かと思って!
本記事のまとめ
不動産取得税とは不動産を取得したことに対してかかる税金です。支払うのは一度だけです。不動産を取得してから原則60日以内(自治体による)に支払います。
不動産取得税には軽減税率と軽減措置が適用できます。これらを適用した計算式は次の通りです。
また、何らかの要因で軽減措置の申請ができなかった場合は還付請求するとお金が返ってきます。期限は還付申請できるようになった日から5年以内です。
少しでも参考になりましたら幸いです。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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